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第六十四話 見えない加害者

Penulis: 海野雫
last update Tanggal publikasi: 2026-09-03 19:08:03

 グロウセオリーに、怪文書が届くようになった。

 最初は一通だった。次の日は二通。その次の日には、朝の郵便の束に紛れて三通あった。

 それはほとんど、澪に対するものだった。

「朝倉澪は男を弄んでいる」

「朝倉澪は仕事ができない」

「朝倉澪は美人じゃないくせに、自分がきれいだと思っている」

「朝倉澪は二股をかけている」

「朝倉澪は昔の恋人とよりを戻したいと思っている」

 まるで小学生並みの内容だった。

 それなのに、同じような紙を何十枚も見せられていると、少しずつ気持ちが削られていく。

 またもや澪は人事から呼び出された。

「朝倉さん。また、これ……」

 会社に怪文書が届くたびに、澪はその内容を人事から見せられる。内容がくだらないだけに、人事も困り果てているようだ。

「申し訳ありません。ご迷惑をおかけして……」

 人事担当者は、顔の前

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     三日。 澪は上司のデスクの前で、その数字を胸のなかでくり返した。 ――たった三日、じゃない。 回答期限を思えば、プレゼンの場をもらえただけでも上出来なのだ。三日もあれば、やれることはいくらでもある。 澪は、背筋を伸ばした。「ありがとうございます。三日後、皆さんに納得していただけるプレゼンを準備します」 それまで厳しかった上司の表情が、ふっとゆるんだ。「……反対しておいて、なんだけど。あなたのプレゼンが、私の心配を吹き飛ばしてくれることを願っているわ」 澪は深く頭を下げて、上司のデスクを離れた。 自席に戻ると、澪はさっそくプレゼン資料に取りかかった。 上層部、人事、コンプライアンス。立場のちがう全員を、三日で納得させなければならない。 集中していると、時間の感覚がなくなる。気づけば、窓の外はすっかり暗くなっていた。 ――お昼、食べそこねちゃった……。 そう気づいたとたん、急におなかが空いてきた。「あれ? 澪ちゃん、まだ仕事?」 帰り支度を済ませた奈央が、澪の席の横で足を止めた。「はい。例の件で、三日後にプレゼンすることになって……」「そっか。じゃあ、手伝おうか?」「いえ、大丈夫です。奈央さん、これから帰るところですよね?」「いいの、いいの。どうせ食事に誘われてただけだし。あ、そうだ。ついでにテイクアウト買ってきてもらおうっと」 奈央はそう言うと、スマホを手にオフィスを出ていった。 食事に誘ってくれた相手を、買い出し係にするなんて。いかにも奈央らしい。澪は思わず、ふふ、と笑った。 しばらくして戻ってきた奈央は、澪の肩をぽんと叩いた。「会議室でやろうか。あとから誰か来ると思うから」「来るって……誰がですか?」「来てのお楽しみ」

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  • 婚約破棄されたあとに再会した幼なじみからの溺愛が止まりません   第121話 善意の刃

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